「……残念ですが、心拍が確認できません。」
その一言で、世界の音が消えた気がしました。
医師は落ち着いた声で続けます。
週数と胎児の大きさを考えると、もう発育が止まっている可能性が高いこと。
母体への負担を考えれば、今日このまま処置することもできます、と。
頭では理解できました。
医師が無責任なことを言っているとも思いませんでした。
何度も診察を重ね、毎回心拍を確認しようとしてくれていたことも分かっていました。
それでも――
私は、うなずけませんでした。
「……一週間、待ってください。」
自分でも驚くほど、声は震えていました。
根拠はありません。
確信もありません。
ただ、今ここで終わらせてしまう決断だけは、どうしてもできなかったのです。
医師は少し間を置いてから、こう言いました。
「分かりました。
あまり、ご自分を責めないでくださいね。」
その瞬間、堪えていたものが一気に溢れました。
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