その朝、私はいつものように夫・匠を見送るため、玄関で軽いキスを交わし、二週間の海外出張に出かける彼を見送った。まだ薄暗い空の下で、私は少しだけ寂しさと違和感を感じていた。匠の背中を見送りながら、心の中で「気をつけてね」と呟く。

しかし、その日が私の人生を変えることになるとは、予想もしなかった。

息子のゆとが寝室で寝ている時間に、私はひとり家事を進めていた。

そのとき、ふと息子の部屋からかすかな音が聞こえた。私はそっとドアを開けると、7歳のゆとがベッドの上で身を震わせていた。普段とは違う、真剣そのものの表情で、突然叫んだ。

「ママ、早くズック履いて逃げよう！」

「え？ どうしたの、ゆと？」

私は驚きながらも、息子に近づいて尋ねた。普段から霊感のある彼は、時々不思議なことを言う。しかし、今回は何かが違った。彼の目には恐怖の色が浮かんでいた。

「早く家に帰っちゃだめ。怖い人たちが来るの。」

その言葉を聞いた瞬間、私の背筋が凍る思いがした。息子の言うことは今まで一度も外れたことがなかった。その確信に、私は急いでゆとを着替えさせ、家の中で必要なものだけを持って出ることを決意した。

「わかった。お着替えだけさせてすぐに出るわ。」

息子の手を引き、急いで家を出た私たちは、近所の公園に向かって走った。公園に着くと、私は震える息子を抱きしめ、すぐに親友の霊感のある霊下に電話をかけた。早朝にもかかわらず、彼女はすぐに出てくれた。

「さき、どうしたの？こんな朝早くに。」霊下の声に、私は冷静さを取り戻しながら状況を説明した。

記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください