ゴールデンウィーク前後、庭園やインスタで真紅や淡桃の大輪を見て「ボタン(牡丹)だ!」「いやシャクヤク(芍薬)だろ?」と論争になる季節。じつはプロでも見分けを誤るほど似ていますが、開花時期も“性格”もまるで別人だと知っていましたか?
開花期
牡丹:4〜6日間だけ咲く“晩春の貴婦人”
芍薬:5月下旬〜6月、いわば“初夏のバレリーナ”
茎の構造
牡丹は木本で冬でも枝が残り、株元が太くゴツい
芍薬は草本で、冬は地上部がほぼ枯れて姿を消す
つぼみの数
牡丹は1茎に大輪がどん、と少数主義
芍薬は複数のつぼみがバランス良く並ぶ
葉の形
牡丹は葉脈がくっきり・分厚め
芍薬はすっきり薄手、縁がなめらか
香りと縁起
牡丹は香り控えめで「花王」=王の風格
芍薬は甘く香り「花相」=姿かたちの美、と歌われる
関東以北の庭園では牡丹を寒冷地仕様の「雪囲い」で守る光景が春の風物詩。一方、奈良・京都では芍薬の薬効を生かし、古くから薬草園で栽培され「立てば芍薬、座れば牡丹」と詩に詠まれました。名前が並列されるせいで「同種の季節違い」と思われがちですが、実は“木か草か”ほどの違い
があるのです。
さらに意外なのは、仏前では牡丹より芍薬の方が香り重視で選ばれること。そして近年“推し活花束”には芍薬が人気急上昇。インフルエンサー曰く「開く前はころんと丸く、咲くと映えボリュームが神」とのこと。