幼少期の記憶の中で、時折耳に蘇るのは、あの懐かしい「拍子木」の音。カン、カン、カンと響くその音が聞こえると、心が躍り始めた。それは、紙芝居が始まる合図だった。まだテレビが普及していなかった時代、小学校の低学年の頃、私たち子供にとって、最も楽しみだった瞬間が紙芝居の時間だった。
紙芝居のおっちゃんと甘い誘惑
その頃、紙芝居を見るには、必ず「ソースせんべい」か「水飴」を買わなければならなかった。ソースせんべいはパリッとした食感が魅力的だったが、子供たちに人気だったのは水飴だった。ほとんどの子供が水飴を選んで紙芝居を見ていた。料金は覚えていないが、5円や10円ほどだったと思う。
紙芝居のおっちゃんは、よく近所の八百屋さんの前にやってきた。リヤカーに紙芝居のセットを積んで現れる姿を見ると、私はすぐに家に戻ってお小遣いを握りしめ、急いで駆け出したものだ。おっちゃんの優しい笑顔と拍子木の音、そして甘い水飴の香りが私たちを誘っていた。
水飴には、ただ食べるだけではない楽しみ方があった。最初は透明な状態の水飴を、渡された箸でひたすらこねて、だんだんと白濁していく過程を楽しむのだ。
紙芝居の世界に引き込まれて
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