入社式の日、息子の涼介が松尾ビジネスシステムズへの初出勤に向かいました。彼は確かに中卒ですが、それにもかかわらず正社員として採用されるために懸命に努力し、資格も取得してきました。その彼が、入社式からわずか5分後に帰ってきたのです。手に握られていた名札には、大きく「中卒」とだけ書かれていました。

私、谷原明仁は、息子が努力を積み重ねてきたことを知っていました。

そんな彼の意志や成果を、不当な扱いで踏みにじることは許せません。この悪質な嫌がらせに対し、私も行動を起こす決意を固めました。私は息子を支えてきたその力を、今回のために使うことに決めました。

翌日、私は松尾ビジネスシステムズとの取引を一方的に停止することを決定しました。西村部長が名札を渡した張本人であることは確認済みです。取引停止の理由を伝えると、彼は慌てて弁解しようとしましたが、私の決定に変わりはありませんでした。

彼らの社内体勢がこのようである以上、信頼に値しないと判断したまでです。

谷原データは業界内でも信頼があり、多くの選択肢がある会社です。松尾ビジネスシステムズとの関係を切ったことで会社が傾き、彼方此方から取引を打ち切られていることは知っています。だからこそ、それに必死だったのでしょう。同時に、私の息子である涼介が他社でどのように働いているかを示唆しました。

子会社で働く機会を与え、新たな一歩を踏み出させました。

その結果、涼介は谷原データサービスで確かな地位を築き、社内でも信頼されている状況です。彼の誠実な働きぶりと優れたスキルが認められ、周囲からの期待に応えているのです。

松尾ビジネスシステムズの西村は結局職を失い、困難な職場で働き始めることになったようです。努力を重ねてきた涼介が今後もその能力を発揮できる場を与えることができたことに、私は心からの安堵を覚えます。

今後も彼の成長を見守りつつ、共により良い未来を築いていきたいと思っています。