1994年、日本プロ野球界に彗星のごとく現れた21歳のイチロー。彼の名を知らない者は当時ほとんどいなかった。その年、イチローは圧倒的なパフォーマンスで球界を震撼させ、シーズン最多安打記録を樹立。打率.385、13本塁打、54打点、29盗塁と、まさに飛躍の年となった。

しかし、その年のオフ、彼が挑んだのは試合だけではなかった。

交渉の舞台裏：巧妙な一言

イチローがこのエピソードを語ったのは、あるYouTube番組のインタビューでのことだった。当時、オリックス・ブルーウェーブに所属していた彼は、球団との契約交渉に臨んだ。シーズン終了後、イチローはオリックスの3年目の選手として、年俸800万円からスタートしていたが、その驚異的な成績により年俸の引き上げが当然の流れだった。

「交渉は得意か？」という問いに対し、イチローは自信満々に答えた。「ポンとキラーフレーズを投げ込むのは得意なんです」と。その言葉通り、彼は交渉の席で見事なフレーズを放つ。

「オリックスのイチローと、毎日テレビで言われてますよね？ その効果、いくらだと思ってるんですか？」

この一言が、交渉の流れを劇的に変えたのだ。

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