華やかなスポットライトの裏で、たった一人の女性が、“イチロー”という伝説を支え続けていた。
その名は──福島弓子。
元TBSアナウンサー。柔らかな声と知性あふれる笑顔で人気を集め、ニュースもバラエティもこなす万能キャスターだった。
だが、彼女の本当の才能は、テレビの前ではなく、“家庭”と“経営”という舞台で開花することになる。
イチローと弓子が出会ったのは1990年代後半。当時、彼は日本球界で圧倒的な存在感を放ち、彼女はTBSの看板アナとして輝いていた。
交際、そして結婚。やがて彼女は表舞台を離れ、「専業主婦」として夫を支える道を選ぶ。
しかし、弓子の本領はそこからだった。
2005年、彼女は**「IYIコーポレーション」**を設立。社名は「Ichiro」「Yumiko」「一弓(いっきゅう)」──2人の名前と愛犬の名を組み合わせたもの。
この会社が手がけるのは、スポーツマネジメント、資産運用、不動産、アパレル輸出入など多岐にわたる。
イチローの総資産・約220億円を管理する一方で、弓子はシアトルに高級美容エステ店も開業。
1回の施術が5万円以上という高価格ながら、「弓子のサロン」としてセレブの間で評判を呼び、今では現地の成功者が通う隠れ家になっているという。
それだけではない。
イチローの体を支えた食事管理も、すべて弓子の手によるものだ。
イチローが試合前に欠かさず食べる“おにぎり”──その数、なんと
2800個以上。
ある取材でイチローはこう語っている。
「同じ味、同じ形。ルーティンを守るのが僕のリズム。妻が作るおにぎりがないと落ち着かない。」
ストイックな男の隣で、彼の「日常」を完璧に支え続ける。それが福島弓子の“職業”だった。
夫婦であり、共同経営者でもある。
どちらが欠けても、イチローというブランドは成立しない。
彼女の判断力と行動力がなければ、220億円という資産を守り抜くことも、世界に広がる事業を回すこともできなかった。
弓子は表に出ることを好まない。しかし彼女の存在が、イチローの“静かな強さ”を支えていることを、誰もが知っている。
夫が伝説を残したのは、妻が“土台”を築いたから。
テレビから姿を消した元アナウンサーは、いまや世界規模の資産を動かす女性実業家へと変貌した。
そして今日も、イチローのルーティンは変わらない。
手作りのおにぎりを一つ頬張り、静かにグラウンドへと向かう──その背中には、福島弓子という“もう一人の天才”の影が寄り添っている。