SCP-5464JP「ミッシングサガ」――地図から“佐賀県”という概念そのものが抜き取られた異常領域を描いたこの企画が、今ひそかにネットで話題を集めている。舞台となるのは九州北部。福岡と長崎の間に、確かに経済も文化も生活も存在しているのに、県外の人間にはその名も歴史も意味として認識できない「どこか」がある、という設定だ。
財団が「Keter」と分類するオブジェクト、SCP-5464JPは、現実の交通網と行政区画に深く組み込まれているにもかかわらず、そこを通過した大半の人が「福岡からそのまま長崎に入った」と証言する。地図には県境も地形も描かれているのに、表記された「佐賀県」の文字は未知の単語として脳内で空白化され、違和感すら覚えない。長崎のテーマパークに毎年通う友人が、「佐賀県って何?」と真顔で答えるエピソードは、この異常性の不気味さを象徴している。
そんな“認識阻害”を、なぜかすり抜けてしまったのが、関西在住の旅行者Kだ。ある日、地図アプリで遊んでいたKは、福岡と長崎の間にぽっかり空いた違和感だらけのスペースを見つける。「佐賀県? こんなところ、本当にあったか?」――地理好きの彼にとって、その発見は小さなバグではなく、挑戦状のように映った。
Kはすぐさま動画撮影用の機材を抱え、九州へ向かう。
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