「佐賀県」と聞いて、多くの人がパッと思い浮かぶのは「有田焼」「呼子のイカ」「吉野ヶ里遺跡」くらいかもしれません。しかし、この地図を見てください。佐賀県は九州の北西部に位置し、福岡県と長崎県に挟まれています。特に福岡市と長崎市を結ぶ交通の中間地点にありながら、意外と存在感は控えめ…。
しかも、博多駅や福岡空港からアクセスしやすい一方、佐賀空港(正式には九州佐賀国際空港)もちゃんとあります。地図中央の赤い飛行機マークがそれです。さらに、既に長崎本線や鹿児島本線、西九州自動車道など、多彩な交通インフラに囲まれています。
地図をじっくり見ると、オレンジ色で描かれた「西九州新幹線」のルートが見えます。この新幹線は長崎と武雄温泉を結び、最終的には博多まで直通を目指す構想です。
しかし、ここで驚きの事実。佐賀県は「全線フル規格化」に消極的どころか、ほぼ反対の立場なんです!
その理由の一つは「メリットの少なさ」。長崎や福岡は大都市間移動で恩恵を受けますが、佐賀に新幹線駅を新設しても、わずか数分の時短効果しか得られません。それに対して莫大な建設費用(県負担分)がのしかかる…。つまり「負担ばかり大きく、得るものが少ない」というわけです。
さらに、既存の在来線(長崎本線など)が地域住民の生活に密着していることも大きな理由です。もし新幹線が整備されると、在来線の維持コストや便数が減り、佐賀県民の移動手段に不便が出るという懸念もあるんです。
地図を見れば分かるように、佐賀県は九州の交通網の「十字路」とも言える位置にあります。福岡への高速道路、長崎への鉄道、さらには熊本・鹿児島方面への新幹線接続…これらをバランスよく利用できるのが佐賀の強み。
しかし「新幹線=便利」というイメージが全国的には強い中、佐賀だけが「それならいらない」と主張するのは、逆にユニークで面白いところ。これは「地方の声を聞く」という意味でも、とても大事な視点です。