母のスマホが、突然圏外になった。
「何度かけても、繋がらないの」
実家から母の固定電話で連絡があったのは、朝の9時過ぎだった。
78歳の母は、電話が使えないことに、明らかに動揺していた。
私はすぐに携帯ショップへ連れて行った。
店員は端末を確認すると、少し困ったような顔をした。
「こちらの回線、先週付けでご家族名義にて解約手続きが完了しています」
「解約?誰がそんな手続きをしたんですか」
私は思わず声を上げた。
母は隣で、状況が飲み込めない様子で立ち尽くしていた。
店員は画面を見ながら、慎重に言葉を選んだ。
「申請者は、同居されているご長男様となっております」
同居している兄が、母に何も言わずに解約していたということだった。
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