紫式部といえば、平安時代を代表する女流作家であり、『源氏物語』の著者として知られています。しかし、その華やかな文学的名声の裏には、宮廷での波乱に満ちた日々がありました。

初出仕での孤独感

紫式部が初めて彰子に仕えた時、彼女は非常に消極的な気持ちで宮廷に足を踏み入れました。その証拠に、『紫式部日記』には、宮廷での生活に対する不安と心の乱れを綴った和歌が残されています。

このため、彼女が宮廷に初出仕した際、他の女房たちとはうまく打ち解けることができませんでした。誰も紫式部に話しかけることなく、彼女は孤独なまま数日間を過ごすことになります。この経験について、彼女は日記に「まるで夢の中をさまよっているような心地だった」と振り返っています。

実家への帰還と再出仕への道

周囲と打ち解けることができなかった紫式部は、わずか数日で実家に戻ってしまいます。彼女の主要な仕事は『源氏物語』の執筆であったため、宮廷で執筆するか実家で執筆するかはさほど問題ではなかったとも言えます。しかし、この時期の紫式部は、自身の境遇に対して深い不安を抱いていたことがうかがえます。

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