一条天皇は彰子に優しく言いました。「彰子よ、そなたの中に宿る新しい命。この喜びを少しでも共に分かち合おうではないか」と。しかし、彰子は少し不安げに答えます。「この子はまだ世に知られておりません。希望もある一方で、胸には不安も抱えております」。彼女は生まれてくる子供のために自らのすべてを尽くす覚悟を固めていました。
それは母としての決意であり、新たな未来に向かうための強い意志の現れでもあったのです。
ある夜、道長は奇妙な夢を見ました。夢の中には多くの僧侶たちが集まり、彰子の懐妊を祝うようにお経を唱えていました。道長は尋ねます。「この子は男子であるか女子であるか」。遠くから「男子なり」という声が聞こえてきました。目が覚め、額の汗を拭いながら現実に戻った道長。智子が心配そうに問いかけます。
「殿、具合が優れませんか?」道長は答えます。「夢を見た。生まれてくる子は男子であると言っていた」。智子はその言葉に微笑みました。「それは素晴らしいお告げではございませんか」と。
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