紫式部は、日本文学史上に名を残す天才的な作家でありながら、その人生には多くの挫折や葛藤がありました。彼女が自分の内面と向き合い、宮廷での難しい日々を乗り越え、新たな一歩を踏み出すまでの物語には、誰もが共感できる深い人間ドラマが詰まっています。
紫式部が最初に宮廷に仕えたのは、33歳から34歳の頃。
当時の平安貴族社会では、女性が宮廷に出仕すること自体が非常に珍しく、特に女房のように多くの人と関わる仕事は周囲から「恥ずかしい」と見なされることが少なくありませんでした。
彼女は、中宮彰子に仕えるという大役を担うことになりましたが、その華やかな環境に身を置いた瞬間、すぐに孤立感を感じ始めました。紫式部自身も「人前で目立つことを嫌う内向的な性格」と自らを評しており、宮廷の華やかな世界に馴染むのは容易なことではありませんでした。
宮廷での生活に疲れ果てた紫式部は、最初の出仕からほどなくして実家に戻ってしまいます。その後、約3ヶ月もの間、彼女は家に閉じこもり、外の世界との関わりを断ってしまいました。これは、宮廷での人間関係や慣れない環境に対する強いストレスからくるものだったのでしょう。
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