かつて日本人は、世界で最も恐れられた戦闘民族だった。彼らの姿は「倭寇」として知られ、その名は東アジアや東南アジアの海域で轟いていた。今の私たちには想像もつかないかもしれないが、彼らの勇猛さと武勇は、かつての敵たちを震え上がらせたのだ。
「倭寇」とは、日本の海賊や私貿易商人たちの集団であり、主に室町時代から戦国時代にかけて東シナ海や南シナ海を中心に活動していた。
彼らの多くは、漁師や商人、武士の子孫であり、時には地方領主からも支援を受け、遠く東南アジアまで航海していた。
彼らの外見は、伝統的な侍の鎧姿ではなく、むしろ簡素で実用的な姿であった。鉢巻を締め、ふんどし一丁で、刀を携えたまま海を渡り、敵地に侵入する。まるで日本男児の原型を体現するかのような彼らの姿は、恐れとともにある種の尊敬をもって見られていた。
興味深いことに、「倭寇」は単なる略奪者ではなかった。
彼らは「南無八幡大菩薩」と祈りながら帆船に乗り、現地の商人たちと公正な取引を行うことを誓っていた。約束を破ることなく、正々堂々とした取引を求め、不正行為や騙し討ちを一切許さないという厳格な姿勢を貫いた。
しかし、その一方で、彼らの取引相手が嘘をついたり、約束を破った場合、すぐさま制裁が下されるのもまた常であった。素っ裸でふんどし一丁のまま、彼らは木刀を振りかざし、「約束を守れ!さもなくば耳を切り落とすぞ!」と叫び、相手を震え上がらせたという。
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