江戸時代の庶民の住まい「長屋」とは？

江戸時代、庶民が住んでいた長屋は、現在のアパートや団地に近い形態の住居でした。江戸の町は、その広大な面積の大部分を武家地が占めており、庶民が住む町人地は全体のわずか15%に過ぎませんでした。それでも、町人地には多くの庶民がひしめき合って暮らしており、その多くが「裏長屋」と呼ばれる場所に住んでいました。

長屋は、通りに面した「表長屋」と、その裏にある「裏長屋」に分けられました。表長屋は商店兼住居で、比較的裕福な商人たちが住んでおり、裏長屋にはより貧しい層が住んでいました。裏長屋に住む者の中には、江戸に出稼ぎに来た農民や、生活に困窮した人々も多く、共同生活の色が濃いものでした。

長屋での暮らし—狭い空間と共同生活

裏長屋の一軒は、間口が約2.7メートル、奥行きが約3.6メートルと非常に狭く、現在の6畳間程度の広さしかありませんでした。

この狭い空間に、家族全員が暮らしていたのです。入口を開けると、畳半分ほどの土間があり、そこが台所として使用されていました。台所には、小さなかまどや水亀が置かれ、家族全員分の食事をまかなうために、ここで毎朝、ご飯を炊いていました。

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