深夜2時。静まり返った家の中で、私は目を覚ました。どこかから聞こえる風の音と、時計の秒針が刻む音だけが空間を支配している。普段なら寝ている時間だが、今日は何かが違った。ふと、隣で寝ているはずの夫がいないことに気づき、部屋を見渡した。だが、夫の姿はどこにも見当たらない。もしかして、また遅くまで仕事をしているのだろうか?そんな考えが脳裏をよぎる。
その時、突然、7歳になる娘の澄んだ声が部屋に響いた。「ママ、今すぐパパから逃げよう!早く!」と、どこか焦った様子で言った。
「えっ?」私は驚き、ベッドから飛び起きた。娘は小さな体を震わせながら、私を見つめている。その目には、普段の無邪気さとは違う何かが宿っていた。恐怖、それとも警戒?私はその表情に心を奪われ、思わず息を呑んだ。
「どうしたの?何があったの?」私は思わず娘に問いかけたが、娘はすぐに返事をせず、ただ一言「早く!」と強く告げた。彼女の顔は青ざめており、その口調には普段の元気な様子は全くなかった。
私は何もかもがわからず、ただ立ちすくんでいた。こんな夜中に、突然娘がこんなことを言い出すなんて。
娘はそれでも引き寄せられるように、私の腕を掴んで引っ張り、強く言った。「ママ、今すぐ行こう!」
その時、私は気づいた。娘の力はただの言葉ではない。それはまるで、何かに引き寄せられるように、私の体を動かす力が込められていた。娘が言う通りにしなければならない、という直感が私の中で強くなった。
「わかったわ、行くわよ。」私は娘の手をしっかりと握りしめ、急いで寝室を出た。
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