母が亡くなってから1か月後、私のもとに届いたのは、800万円という信じられない金額の督促状だった。
「嘘でしょ……母に、こんな借金があったの?」
私は震える手で書類を握りしめた。
母が亡くなったのは、つい先月のことだった。
晩年は介護施設で暮らしており、私と兄は交代で面会に通っていた。
母が亡くなった数日後、施設から未払いの利用料38万5600円を請求された。
「お母様の最後の利用料になります。お支払いをお願いいたします」
私は迷わなかった。
母が長年お世話になった施設に迷惑をかけたくなかったからだ。
母の通帳には、まだ預金が残っていた。
私はそこから38万5600円を引き出し、そのまま施設への支払いに充てた。
「これで、母のことはきちんと済ませられた」
そう思っていた。
ところが、その1か月後。
突然、金融会社から800万円の督促状が届いたのだ。
兄に電話すると、兄も驚いていた。
「そんな話、聞いていないぞ!」
「私だって知らなかったよ。どうしよう……」
兄はしばらく黙ったあと、低い声で言った。
「相続放棄しよう。母の借金まで背負う必要はない」
私も同意した。
しかし、念のため弁護士に相談することにした。
事務所で、私は母の死亡届の控え、通帳、施設からの請求書、そして800万円の督促状を机に並べた。
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