「ごま油買ってきてって言ったよね?これ、ごま油じゃないよ!」
買い物から帰ってきた俺は、妻のひと言に思わず固まった。
休日の午後。
妻から頼まれたのは、たった1本のごま油だった。
「トライアルに行くなら、ごま油買ってきてね」
「おう、分かった」
俺はスマホでほかの買い物リストを確認しながら、スーパーへ向かった。
調味料売り場に着くと、ごま油らしき商品が並んでいた。
茶色いボトル。
ごま油らしい見た目。
ラベルにも、ごま油を思わせる文字がある。
「これでいいだろ」
俺は深く考えず、1本をカゴに入れた。
ほかの買い物も済ませ、帰宅。
レシートを財布にしまい、買ってきた商品をテーブルに並べた。
「はい、ごま油」
妻はボトルを手に取り、裏側のラベルをじっと見つめた。
そして、突然こう言った。
「これ、ごま油じゃないよ」
「は?」
「だって、ここに『食用調合油』って書いてあるじゃない」
妻が指差したのは、原材料表示の部分だった。
そこには、食用ごま油と食用なたね油が記載されていた。
「ごま油と菜種油を混ぜた商品なんだよ。純粋なごま油じゃないの」
俺はボトルを受け取り、裏面を確認した。
確かに「食用調合油」と書いてある。
だが、俺は納得できなかった。
「いや、俺はごま油を買ってこいって言われたから買ってきたんだぞ?」
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