
「パパ、大変! 車のドアのところ、盛大にこすっちゃったの……! ちょっと直してくれない?」
ある日の休日、社会人の娘が青ざめた顔でスマホの画像を見せてきた。 画面を覗き込むと、愛車の白いコンパクトSUVの左側面がガリガリと削れ、リアドアのあたりは大きくベッコリと凹んでいる。
塗装が剥がれ、黒い下地が露出している上に、プレスラインまで見事に歪んでいた。
「おいおい、これ結構派手にやったな……。素人がDIYで直せるレベルを超えてるぞ!」 思わず私は声ルを張り上げた。 ディーラーや板金屋に持ち込めば、ドアの交換や大掛かりな板金塗装で間違いなく15万〜20万円コースの重傷だ。「板金屋さんに頼みなさい!」と言いかけだが、娘は申し訳なさそうにこう言った。 「新社会人でまだ貯金も少ないし、修理代が高すぎたら今月の生活がヤバいの……。パパ、何とかならない?」
その上目遣いと切なそうな顔に弱い私は、ついつい「しょうがないなぁ……」と引き受けてしまったのが運の尽き(いや、最高の挑戦の始まり)だった。
早速、ホームセンターでパテ、サンドペーパー、プラサフ、タッチアップペン、そしてコンパウンドを買い揃えた。総額数千円のDIY大作戦の幕開けだ。
プロの板金工ではない。私はただの、日曜大工が少し好きな父親だ。 まずはヒートガンと吸盤を使って、ベッコリ凹んだ鉄板の歪みを根気よく引っ張り出す。バキッ、ボコッという不穏な音が響くたびに冷や汗が出たが、何とか元の形に近いところまで戻した。
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