「息子の部屋を、片付けてもらえませんか」
電話口の女性の声は、最初から震えていた。
依頼内容は、音信不通になった息子さんの部屋の片付け。
間取りは1K。
私は正直、よくある単身者の退去清掃くらいだと思っていた。
ところが、玄関を開けた瞬間、空気が重く沈んだ。
部屋の奥に進む前から、異様なにおいが鼻をついた。
一番ひどかったのはトイレだった。
床一面にペットボトル、食品容器、袋、紙くずが積み重なり、便器の周りまで埋もれていた。
足の踏み場はほとんどない。
壁にも汚れが染みつき、普通の掃除では済まない状態だった。
同行していた母親は、トイレの前で立ち尽くした。
「ここで、あの子は生活していたんですね」
そうつぶやいたあと、口元を押さえて黙り込んだ。
息子さんとは、数ヶ月前から連絡が取れなくなっていたという。
家賃の滞納連絡が管理会社から入り、慌てて部屋を確認した。
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