朝の通勤時間、いつもの道が妙に詰まっていました。
最初は事故かと思いました。けれど近づいてみると、原因はすぐ分かりました。
道路の端に、ありえない停め方をしている車があったのです。
少し寄せれば通れるはずなのに、車体は中途半端に道路へはみ出していました。しかもハザードをつけているわけでもなく、運転手の姿も見えません。
後ろには軽トラック、宅配の車、通勤中の車が次々に並び始めました。
歩行者も困っていました。自転車の人は車道側へ大きくふくらまないと通れず、小学生らしき子どもたちも不安そうに立ち止まっていました。
「なんでここに停めるかな……」
誰かが小さくつぶやきました。
私も同じ気持ちでした。
少し先には、ちゃんとコインパーキングがあります。ほんの数分歩けばいいだけです。それなのに、自分の都合だけで道路をふさぎ、周り全員に迷惑をかけている。
しばらくすると、近くの店から男性が出てきました。
片手には飲み物。もう片方の手にはスマホ。
その男性は、車の前で詰まっている状況を見ても、悪びれる様子がありませんでした。
宅配の運転手さんが窓を開けて言いました。
「すみません、ここ通れなくて困ってます」
すると男性は、面倒くさそうに笑いました。
「ちょっとだけだから」
その一言で、周りの空気が変わりました。
ちょっとだけ。
その“ちょっとだけ”のせいで、何人もの人が足止めされているのに。
軽トラックの運転手さんは、時間指定の配達があるようで何度も時計を見ていました。後ろの車の女性は、子どもを保育園へ送る途中だったらしく、焦った顔で電話をしていました。
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