日曜日の午後7時、娘とファミレスへ夕食を食べに行った。
いつものように入口へ向かい、自動ドアの前で足を止めた。
ガラスに、大きな白い紙が貼られていたからだ。
そこには青いペンで、こう書かれていた。
「お客様へ」
「ミセスのメニュー表をもって帰らないでください。」
「困っています。」
私は思わず声に出して読んでしまった。
「えっ、どういうこと?」
隣にいた娘が顔を上げた。
「何が?」
「これ見て」
娘は貼り紙を読んだ途端、目を丸くした。
「えっ! ミセスのメニュー表?」
「そう書いてあるね」
「持って帰る人がいるってこと?」
私は首をかしげた。
ミセスといえば、人気バンドのMrs. GREEN APPLEだ。
娘も曲をよく聴いている。
最近はテレビや街中でも名前を見かけることが多い。
そんな人気グループに関連したメニュー表なら、ファンが欲しくなる気持ちは分からなくもない。
でも、店の備品を勝手に持ち帰るのは別の話だ。
「お母さん、これ本当に持って帰っちゃう人がいるのかな」
「貼り紙があるってことは、少なくともお店は困ってるんだろうね」
娘は少し残念そうな顔をした。
「ファンなら、こういうことしないでほしいな」
私たちは店内へ入った。
案内された席に座り、メニューを開いた。
娘は楽しそうに料理を選び始めたが、私はさっきの貼り紙が気になって仕方がなかった。
注文を済ませたあと、店員さんに声をかけた。
「すみません、ちょっと聞いてもいいですか?」
「はい、何でしょうか?」
「入口の貼り紙、見たんですけど」
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