朝6時40分、目覚まし時計が鳴った。
いつものように布団をめくり、ベッドから降りようとした瞬間、足の甲にピリッとした痛みが走った。
「痛っ……」
何かを踏んだのかと思い、足を持ち上げた。
その瞬間、私は目を疑った。
足の甲に、赤い線が何本もついていたのだ。
長いものは5cmほどありそうだった。
足首の近くには、小さく引っかいたような傷が集まっている。
「えっ、何これ……」
私は慌ててスマホのライトをつけた。
皮膚の表面が細く傷つき、一部には乾いた血のようなものがついていた。
虫刺されのような丸い腫れではない。
どちらかというと、何かで引っかかれたような傷だった。
しかも、1本だけではなかった。
「昨日、こんなのなかったよね……?」
私は昨夜のことを思い返した。
22時30分頃、シャワーを浴びてから寝室へ入った。
そのとき足には何もなかった。
痛みも、かゆみもなかった。
ベッドのシーツを整え、いつもどおり眠っただけだ。
それなのに、朝起きると傷ができている。
私は夫を起こした。
「ねえ、ちょっと起きて」
「どうしたの?」
「足、見てほしい」
夫は眠そうに目をこすりながら、私の足を見た。
「うわ、どうしたの、それ」
「分からない。起きたらこうなってた」
「寝てる間に引っかいたんじゃない?」
私は自分の手を見せた。
「でも、爪は短いよ」
前日に爪を切り、ネイルも塗り直していた。
長い爪で皮膚を引っかいたとは考えにくかった。
「無意識なら分からないだろ」
「それはそうだけど、こんな場所に届くかな」
私は寝ていた姿勢を思い出そうとした。
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