祖父の家を片づけることになったのは、古い家具や使わなくなった道具が増え、部屋の整理が必要になったからだった。
祖父は昔から物を捨てられない人だった。
壊れた時計、古い電気製品、何に使うのか分からない工具。押し入れには、何十年も使っていなさそうなものまで残っていた。
「これ、全部取っておく必要あるのかな」
私がそう言うと、母は苦笑いした。
「昔からそうなの。何でも『いつか使う』って言うんだから」
午後2時過ぎ、祖父の部屋にある棚を整理していたときだった。
段ボールの奥から、白い箱が出てきた。
開けてみると、透明な袋に入った金属製の部品が何個か重なっていた。
細長い金属が楕円形に巻かれている。
表面には細かな溝のようなものがあり、普通の家庭用品には見えなかった。
袋には英語や記号が印字されていた。
「何これ……?」
私は1個を手に取った。
工具なのか、機械の交換部品なのか、それすら分からない。
祖父は昔、機械を扱う仕事をしていたと聞いたことがある。
だから仕事で使っていたものかもしれないと思った。
私は袋を持って台所へ向かった。
「母さん、ちょっとこれ見て」
母は洗い物をしていた。
「何?」
「祖父ちゃんの部屋から出てきたんだけど、これ何か分かる?」
私は透明な袋を差し出した。
母は最初、何気なく目を向けた。
ところが、次の瞬間、表情が一変した。
「……え?」
母は手を拭くのも忘れて、袋を見つめた。
「これ、どこにあったの?」
「奥の棚だけど」
「棚のどこ?」
「段ボールの下のほう」
母は私の手から袋を受け取った。
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