家事代行の仕事を始めてから、いろいろなお宅を訪問してきました。
きれいに整理されたマンションもあれば、育児や仕事で片付けが追いつかないご家庭もあります。
家事代行を頼む理由は、人それぞれです。
だから私は、どれほど散らかっていても、依頼主を責めるようなことは言わないと決めています。
しかし、今日のお宅は少し驚きました。
玄関で出迎えてくれたのは、30代くらいの女性でした。
「今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
最初に依頼内容を確認すると、女性は少し困ったように笑いました。
「実は、キッチンが大変なことになっていて……」
「大丈夫ですよ。まず状態を見せてください」
そう言って案内されたキッチンを見た瞬間、私は足を止めました。
シンクが見えなかったのです。
正確には、シンクの中が大量の食器で埋まっていました。
茶碗、汁椀、小皿、マグカップ。
大きなボウルや鍋、フライパンまで重なっています。
しかも、食器の中には飲み残しと思われる液体が入っているものもありました。
「これは……なかなかですね」
思わず声が漏れました。
女性は申し訳なさそうに頭を下げました。
「すみません。自分でもどうしたらいいか分からなくなってしまって」
「いえ、大丈夫です。これを片付けるために呼んでいただいたんですから」
私は笑顔で答えました。
「ちなみに、何日分くらいでしょうか?」
「たぶん4日分くらいです」
「4日分ですね」
「子どもの世話をしていたら、どんどん増えてしまって……」
女性の声が小さくなりました。
私はその表情を見て、質問の仕方に気をつけようと思いました。
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