「スマホもカメラも腕時計も持ち込み禁止。見つけた場合は警察に通報します」
温泉の入口に掲げられた注意書きを見て、私は思わず足を止めた。
脱衣所や浴室への撮影機器の持ち込みを禁止する施設は珍しくない。
しかし、ここには「撮影可能と疑われるもの」まで禁止すると書かれていた。
しかも、その横には、ある利用者の運転免許証らしきものと、本人の体験談が貼り出されていた。
内容は、腕時計を浴場に持ち込んだことで1万円を支払い、出入り禁止になったというものだった。
私は思わずつぶやいた。
「いや、さすがにこれはやりすぎじゃないの……?」
もちろん、温泉で盗撮を防ぐことは大切だ。
誰もが安心して裸になれる場所だからこそ、撮影機器の管理は厳しくあるべきだと思う。
しかし、普通の腕時計まで疑われるとなれば、話は別だ。
その日の夕方、私が休憩スペースにいると、年配の男性が受付で声を荒らげていた。
「私は時計をしていただけだ!写真なんて1枚も撮っていない!」
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