「もう100通り以上試したのに、1回も開かない……!」
私は古いビルの入口で、数字とアルファベットが並んだ金属製のパネルを見つめていた。
1から9までの数字に、0、A、B。
一見すると普通の暗証番号入力装置だが、何度見ても不思議な配置だった。
その日、私は友人の佐藤に頼まれ、築40年の雑居ビルを訪れていた。
佐藤の祖父が経営していた会社が、数年前までこのビルに入居していたらしい。
ところが、祖父が亡くなったあと、会社は閉鎖され、事務所も長い間使われていなかった。
「倉庫に大事な書類が残っているはずなんだ。でも、管理会社に連絡しても、すぐには確認できないって言われてさ」
佐藤は困り果てていた。
私は入口にあるパネルを見て、ふと思った。
「もしかして、これが開けば中に入れるんじゃないか?」
しかし、もちろん暗証番号は分からない。
適当に考えても、パネルは何の反応も示さなかった。
そこへ、奥から年配の男性が現れた。
「君たち、そこで何をしているんだ?」
管理人のようだった。
私は事情を説明しようとしたが、男性はパネルを見て眉をひそめた。
「まさか、番号を片っ端から試していたのか?」
「いえ、ただ、どうすればいいのか分からなくて……」
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