朝6時前。
私は眠い目をこすりながら、ドームでの単発バイトへ向かった。
その日の勤務は朝から夕方まで。
日給は8400円。
「少しでも家計の足しになれば」
そう思って、久しぶりに知らない現場へ向かった。
車で到着すると、近くに駐車場を発見した。
看板を見ると、大きくこう書いてあった。
「最大料金700円」
私は安心した。
「これなら駐車代を気にせず働ける」
そう思い、その場所に車を停めた。
朝6:46に入庫。
そのままドームへ向かい、慣れない仕事を必死にこなした。
立ちっぱなしで足も痛い。
でも、
「帰ったら700円だけ払えばいい」
そう思って頑張った。
そして15:51。
仕事を終え、疲れた体で駐車場へ戻った。
財布を出し、精算機の画面を見る。
表示された金額を見た瞬間――
私は固まった。
「……え?」
そこに表示されていた金額。
なんと、
14,900円。
一瞬、何かの間違いだと思った。
もう一度確認した。
入庫時間。
精算時間。
料金。
全部間違っていない。
朝から約9時間停めただけなのに、駐車料金が日給を大きく超えていた。
「私、何しに来たんだろう……」
頭の中が真っ白になった。
日給8400円。
駐車料金14,900円。
働いた分どころか、6000円以上マイナス。
しかも、原因はちゃんと書かれていた。
大きな文字の「最大700円」。
そのすぐ横に、小さく表示されていた文字。
「特別料金 10分300円」
私は完全に見落としていた。
疲れていた朝。
早く現場に行かなければという焦り。
「最大料金」という安心感。
その3つが重なって、確認を怠ってしまった。
もちろん、駐車場側の表示もルール通りだった。
でも、利用者としては悔しい。
たった数秒の確認不足で、1日の努力が消えてしまった気分だった。
帰宅してから、夫に話した。
「今日8400円稼いだんだけど……」
「駐車場代で14900円払った」
夫は驚いた顔をした。
「それじゃ仕事した意味なくなるじゃん」
本当にその通りだった。
でも、この経験で痛感したことがある。
駐車場の「最大料金」という言葉だけを信じてはいけない。
小さな文字。
時間帯。
曜日限定。
特別料金。
入口の看板だけではなく、細かい条件まで確認すること。
それ以来、私は駐車場に停める前に必ず写真を撮るようになった。
料金表示。
注意書き。
入庫時間。
全部記録する。
今回の14900円は、私にとって痛い勉強代だった。
でも、同じ失敗をする人が少しでも減ればと思う。
「最大700円」
その大きな文字の裏側に、
まさか10分300円という落とし穴があるなんて。
あの日の私は知らなかった。