義母の無人販売所で、柿が約1,000円分も盗まれた。
それなのに、義母が貼った注意書きがかわいすぎて、思わず笑ってしまった。
うちの義母は、家の前で小さな無人販売所をやっている。
畑で採れた野菜や、季節の果物を袋に詰めて並べ、値段を書いた紙を添える。
お客さんが商品を選び、代金を箱に入れていく。
たったそれだけの、昔ながらの販売所だ。
「近所の人が喜んでくれたら、それでええんよ」
義母はいつもそう言って、朝早くから商品を並べている。
ところが、ある日の夕方。
様子を見に行った義母が、少し困った顔で戻ってきた。
「ちょっと聞いてくれる?」
「どうしたの?」
「柿がな、だいぶ減っとるんよ」
棚を見ると、袋入りの柿がいくつもなくなっていた。
売れたのならいい。
でも、代金を入れる箱には、お金がほとんど入っていなかったという。
「1,000円分くらいはあったと思うんやけどなぁ……」
義母は怒るというより、がっかりした様子だった。
「お義母さん、せっかく育てたのにね」
私がそう言うと、義母はしばらく黙ってから、ぽつりとつぶやいた。
「お金がないなら、ひと言言うてくれたらええのに。黙って持っていかれるんは悲しいわ」
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