スーパーで買い物を終えて車に戻った瞬間、私は自分の目を疑った。
愛車のフロントバンパーが無残に引き裂かれ、部品が道路に散らばっていた。
ボンネットの先端は歪み、ヘッドライトの周囲も壊れている。
なのに、ぶつけた車はどこにもいなかった。
「……嘘でしょ?」
ほんの少し買い物をしていただけだった。
駐車場に停めていた車が、こんな姿になっているなんて。
怒りより先に、頭が真っ白になった。
修理代はいくらかかるのか。
車は動くのか。
どうして、何も言わずに逃げられるのか。
その場に立ち尽くしていると、見知らぬ女性が小さな子どもの手を引いて近づいてきた。
「もしかして、この車の持ち主さんですか?」
私は震える声で「そうです」と答えた。
すると女性は、すぐに教えてくれた。
「実は、ぶつけたところを見ていたんです。もう警察にも連絡しました」
その言葉を聞いた瞬間、膝の力が抜けそうになった。
さらに、女性は自分の車のドライブレコーダーの映像も提供してくれるという。
私は何度も頭を下げた。
もし、この親子が見ていなかったら。
もし、映像が残っていなかったら。
相手はそのまま逃げて、私は泣き寝入りするしかなかったかもしれない。
やがて警察官が到着し、映像の確認が始まった。
そこには、私の車にぶつかる瞬間がはっきりと映っていた。
車のナンバーも確認できた。
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