「父親のくせに、子どもの前で何をしてるの?」
床に散らばった物を見ながら、私は震える手でスマホを握りしめていた。
夫は35歳。
普段は普通に話せるのに、ひとたび怒り出すと、手当たり次第に物を投げ、家具を倒す。
その日も、ほんの些細な言い合いがきっかけだった。
「何回言わせるんだよ!」
夫が怒鳴った次の瞬間、棚の上の物が床に飛び散った。
ガタンッ!
収納ケースが倒れ、家の中に大きな音が響いた。
子どもはその場で泣き出した。
「パパ、やめて……怖いよ……」
その声を聞いても、夫は止まらなかった。
さらに物を投げ、倒れた家具を蹴り飛ばした。
私は子どもを抱き寄せ、ただ嵐が過ぎ去るのを待つしかなかった。
夫が別の部屋へ行ったあと、私はようやく周囲を見渡した。
床には壊れた物や散らばった日用品。
いつも家族で過ごしているリビングとは思えない光景だった。
私は写真を撮った。
動画は撮れなかった。
でも、スマホの録音には、夫の怒鳴り声や物が倒れる音が残っていた。
その音声を聞き返すと、手が震えた。
何よりつらかったのは、子どもが泣きながら私に言った言葉だった。
「ママ、パパがまた怒ったら、ぼくたちどうなるの?」
私は返事ができなかった。
子どもには、いつも教えている。
「嫌なことがあっても、物を投げちゃいけないよ」
「怖い思いをしたら、ちゃんと大人に相談するんだよ」
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください