父が亡くなってから3日が過ぎた。
葬儀の準備に追われていた私は、実家の居間で父の遺品を整理していた。
机の上には、使い込まれた財布、古い腕時計、鍵の束。
どれも父が毎日使っていたものだった。
その中に、小さな白いものがあった。
「……これ、タバコ?」
指でつまんでみると、短く切れたフィルターだった。
表面は少し汚れ、薄い文字が残っていた。
私はしばらく、それを見つめた。
父は本当にタバコが好きだった。
朝起きると、まず庭先に出る。
食後には決まって灰皿を持ち、縁側に座る。
そして仕事から帰ったあとも、いつもの場所で静かに煙をくゆらせていた。
子どものころの私は、そんな父の姿を何度も見ていた。
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