午後6時23分。
仕事を終え、いつもの電車に乗り込んだ私は、車内の光景を見て思わず足を止めた。
夕方の帰宅ラッシュ。
通路には会社員や学生が立ち、座席はほとんど埋まっていた。
ところが、4人掛けのボックス席に、明らかに不自然なものが置かれていた。
大きな白いスーツケースだった。
しかも、床ではない。
座席の上に堂々と置かれていたのだ。
「……えっ?」
私は思わず2度見した。
スーツケースはかなり大きく、座席の幅をほとんど使っている。
持ち主らしい女性は窓側に座り、スマホを操作していた。
膝の上には小さなショルダーバッグ。
本人は周囲の視線など気にしていない様子だった。
私は最初、すぐに荷物を下ろすのだと思った。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください