「お前、さっきの運転なんだよ!」
突然割り込んできた車の運転手が、窓越しに怒鳴った。
私はブレーキを踏み、ハンドルを握り直した。
後部座席で、娘が息をのむ音がした。
休日の買い物帰りだった。
片側2車線の道路を走っていると、右隣の車が急にこちらへ寄ってきた。
接触を避けようと減速すると、その車は私の前へ入り込んだ。
思わず短くクラクションを鳴らした。
それが気に入らなかったらしい。
次の赤信号で男が降りてきて、私の車の窓をたたいた。
「開けろよ。話してるだろ」
私はドアのロックを確かめた。
窓は開けなかった。
「ママ、知ってる人?」
娘の小さな声に、胸が締めつけられた。
「知らない人。ドアは開けなくていいからね」
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