「車が曲がれるか、確認しただけでしょう?」
玄関先でそう言われ、私は門扉を握り直した。
目の前の男性は、悪びれもせず道路に止めた車を指さしていた。
数分前、庭で物音がした。
窓から見ると、知らない男性が敷地に入り、植木鉢を動かしている。
驚いて外へ出ると、男性は言った。
「ここ、少し空けてもらえます? 車が曲がれないんで」
うちの前は、道幅の狭い曲がり角だ。
男性の大きな車は途中で止まり、助手席の女性が困った顔でこちらを見ていた。
「勝手に入って、物を動かさないでください」
「だから、ぶつけないように確認してるんですよ」
まるで私が邪魔をしているような口ぶりだった。
私は動かされた鉢を見た。
底を引きずった跡が、玄関前のタイルに残っていた。
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