「お母さん、車を出せないの。後ろに知らない車がぴったりくっついていて、前にもスペースがないの……」
娘から電話がかかってきたのは、平日の午後3時過ぎだった。
送られてきた写真を見て、私は思わず声を上げた。
娘の車のすぐ後ろに、白いSUVがぴったりと停まっている。
これでは、少しハンドルを切ったくらいでは出られそうにない。
しかも、道路脇には赤く塗られた縁石が見える。
「その車、誰の車か分かるの?」
「知らない人。私が戻ってきたら、もう停まっていたの」
娘は困り果てていた。
「クラクションを鳴らしたけど、誰も来ないし、連絡先もないの」
私は落ち着いて答えた。
「無理に動かそうとしないで。車に傷をつけたら、こっちまで面倒なことになるから」
「でも、どうしたらいいの? このあと予定もあるのに……」
私は娘に、まず周囲の状況と車の位置を写真に撮るよう伝えた。
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