親戚から「新米を少し売ってくれない?」と連絡が来た。
うちは農家というほど大きくはないけれど、毎年、親戚や近所の人に頼まれれば、できる範囲で玄米を分けている。こちらも商売というより、付き合いの延長だ。
だから今回も、最初は深く考えなかった。
「30kg玄米で税込8500円なら大丈夫です」
そう返した。
店で買うよりは安い。正直、手間や袋代、運ぶ時間を考えたら、かなり身内価格だと思う。
それでも相手は親戚だし、助かるならいいかと思っていた。
ところが3日後、返ってきた返事を見て、私は思わずスマホを二度見した。
「じゃあ30袋ちょうだい」
一瞬、意味が分からなかった。
30kgを30袋。
つまり900kg。
しかも相手は、もう70歳近い夫婦2人暮らしだ。普通に考えて、そんな量を1年で食べ切れるはずがない。
嫌な予感がした。
私は念のため聞いた。
「ご自宅用ですか?」
すると、返ってきたのは軽い返事だった。
「親戚とか知り合いに配るから。安くしてもらえると助かる」
その瞬間、胸の中がざわっとした。
うちは好意で身内価格にしている。なのに、その値段で大量に買って、他の人に回すつもりなのかもしれない。
しかも次のメッセージで、さらに力が抜けた。
「腰痛いから、家まで配達して〜」
私はスマホを置いて、しばらく天井を見上げた。
30kgの米袋を30袋。合計900kg。
軽トラに積んでも一度では無理だ。少なくとも3回は往復しないといけない。積むのも下ろすのも重労働だし、ガソリン代も時間もかかる。
それをまるで、近所におすそ分けを届けるくらいの感覚で頼んでくる。
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