食器棚の下に敷いていた緩衝フィルムをめくった瞬間、思わず息が止まりました。
そこにあったのは、ほこりでもゴミでもない、ふわっと盛り上がった気持ち悪いもの。
白っぽくもあり、少し茶色っぽくもあり、触る気には到底なれない見た目でした。
「え、なにこれ……カビ?」
私はその場で固まりました。
この場所は、2ヶ月ほど前に一度すべて退けて、きれいに掃除したばかりでした。
食器棚の下に傷がつかないように、緩衝フィルムを敷いていただけです。水をこぼした覚えもないし、食べ物を落とした記憶もありません。
なのに、フィルムの下から何かが生えている。
しかも、最近になって急に。
気持ち悪さより先に、不安がこみ上げました。
もしカビなら、食器棚の中まで広がっているかもしれない。床材まで傷んでいるかもしれない。小さい子が触ったらどうしよう。料理のたびにその近くを歩いていたと思うと、ぞっとしました。
私はすぐに手袋とマスクをつけました。
そのまま触るのは怖かったので、まずスマホで写真を撮りました。あとで管理会社や業者に説明できるように、全体の位置、フィルムをめくった状態、変色している部分を何枚か残しました。
次に、食器棚の中身を全部出しました。
皿、コップ、調味料、保存容器。普段なら面倒で後回しにする作業も、このときばかりは止まれませんでした。
棚を少し動かすと、床との間にうっすら湿ったような跡がありました。
そこで初めて気づきました。
食器棚のすぐ近くには、キッチンの給水管が通っていました。
まさかと思い、シンク下を開けると、配管の根元に小さな水滴がついていました。
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