新幹線に乗った瞬間から、今日は少し嫌な予感がしていました。
指定席に座って、やっとひと息ついた直後です。前の席に座っていた中年男性が、靴を脱ぐこともなく、前の座席の横に足を投げ出すように上げました。
「え、そこに足を置くの……?」
思わず心の中でつぶやきました。
しかもそれだけではありません。スマホを取り出したかと思うと、イヤホンも使わずにスピーカー通話を始めたのです。
「だから言うたやろ!」
「今、新幹線やって!」
車内に響く大きな声。周りの人たちもちらちら見ていましたが、誰も注意できません。私も同じでした。せっかくの移動時間なのに、トラブルになるのが怖くて、ただ黙って我慢するしかありませんでした。
さらに男性は、背もたれを確認もせずに一気に倒してきました。
ドン、と膝のあたりに圧迫感が来て、テーブルに置いていた飲み物が少し揺れました。
「すみません」の一言もありません。
私はできるだけ体を小さくして座りました。通話の声、足の位置、倒された背もたれ。どれも一つなら我慢できたかもしれません。でも全部が重なると、さすがに苦しくなってきました。
周りの乗客も明らかに困っていました。隣の女性はイヤホンをつけ直し、通路側の男性はため息をついて窓の外を見ていました。
そのとき、車掌さんが通路を歩いてきました。
最初は切符確認かと思いました。でも車掌さんは、男性の様子と私の席まわりをさりげなく見て、一度通り過ぎたあと、しばらくして戻ってきました。
そして私の横で少しかがみ、小さな声でこう言ったのです。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください