ある日、昼休みにスマホを見ていた夫が、ぽつりと言いました。
「これ、なんかおかしくないか?」
画面には、生活保護の支給額に関する投稿が表示されていました。単身ではなく、家族構成によっては月28万円、33万円ほどになる例もあるという内容でした。
最初、私は単純に「大変な人を支える制度だから必要だよね」と思いました。もちろん、それは今でも変わりません。
病気、失業、家庭の事情。誰だって、いつ生活に困る側になるか分からないからです。
でも夫が続けて言った言葉で、私は少し黙ってしまいました。
「これって、手取りで33万円ってことだよな。税金も社会保険料も引かれない。医療費も原則かからない。じゃあ普通に働いて同じ生活水準にするには、いくら稼げばいいんだ?」
その夜、夫は紙と電卓を持ち出しました。
夫の月給は額面で約42万円。そこから所得税、住民税、厚生年金、健康保険、介護保険、雇用保険が引かれます。残る手取りは、およそ32万円前後。
さらに子どもの医療費、親の通院費、車の維持費、保険料。給料日前になると、通帳の残高を見てため息が出ることもあります。
「俺、毎月こんなに引かれてるのに、手取りだけ見たら支給例とほとんど変わらないんだな」
夫は怒っているというより、力が抜けたような顔をしていました。
翌日、職場でも同じ話題になったそうです。
同僚の一人が言いました。
「生活保護が悪いんじゃないよ。困ってる人を助けるのは当然。でも、働いてる側が“自分たちの方が苦しい”って感じる制度設計はまずいよな」
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