牡蠣を食べていたら、口の中で「ゴリッ」と硬い音がしました。
一瞬、砂かなと思いました。牡蠣を食べていると、たまに殻の小さな欠片が入っていることもあります。だから最初は驚きながらも、そっと口から出して確認しました。
ところが、手元に出てきたものを見て、思わず固まりました。
白くて、丸くて、小さく光っている。
「え、これ……真珠?」
同席していた友人も、最初は冗談だと思ったようでした。でもテーブルの照明にかざしてみると、ただの砂や殻とは明らかに違いました。表面に少しツヤがあり、ころんとした丸みがあるのです。
私は一気にテンションが上がりました。
牡蠣から真珠なんて、漫画やテレビの中の話だと思っていました。まさか自分の口の中から出てくるなんて、想像もしていませんでした。
ただ、同時に少し気になりました。
「これ、本当に真珠なのかな?」
嬉しい気持ちのまま、店員さんに声をかけました。
「あの、すみません。牡蠣を食べていたら、これが出てきたんですけど……真珠かどうか分かりますか?」
その瞬間、店員さんの表情が一気にこわばりました。
私はすぐに、「あ、違うんです。クレームじゃないです」と言おうとしました。でも店員さんは、私が何か異物混入の苦情を言っていると思ったようで、何度も頭を下げました。
「申し訳ございません。すぐ確認いたします」
そう言って、私の口から出てきたその小さな粒を、丁寧に小皿へ移し、責任者のところへ持っていってくれたのです。
その背中を見ながら、私は焦りました。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください