「大丈夫そうですね」市役所の職員に、欠けた実印を見せながら笑顔で言われた瞬間、私は言葉を失った。
昨日、私は印鑑登録の手続きのため、市役所を訪れた。
長年使うつもりで購入した、天然石のしっかりした実印。
登録手続きを終え、職員から実印を返してもらおうとした、そのときだった。
職員の手から、私の実印が床に落ちた。
「あっ……!」
慌てて拾い上げた職員。
しかし、確認すると、印鑑の一部が欠けていた。
私は自分の目を疑った。
大切な実印が、目の前で壊されたのだ。
ところが、職員の対応は、私の想像を超えていた。
なんと、朱肉を雑につけて、その場で紙に押印し始めたのだ。
そして、印影を見ながら一言。
「大丈夫そうですね」
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