仕事から帰ってきた瞬間、私は思わず車の中で固まった。
私の駐車枠に、知らない車が停まっていた。しかも隣の職場の人の枠にも、別の知らない車が1台。合計2台。どちらにも連絡先のメモはない。
「え、なんで?」
最初は何かの間違いかと思った。来客用と勘違いしたのか、業者なのか、近所の人なのか。けれど、どれだけ見ても見覚えはない。こちらは毎月きちんと駐車場代を払っている。
仕事で疲れて帰ってきて、なぜ自分の車を停める場所がないのか。
怒りより先に、ため息が出た。
すぐに管理会社へ電話した。けれど、つながらない。何度かけても留守電。仕方なく、警察に相談できるのか調べたが、私有地の駐車トラブルは基本的に民事不介入だという情報ばかり出てくる。
「じゃあ、どうしろっていうの」
私は車内でしばらく考えた。
勝手に相手の車を動かすことはできない。傷をつけたらこちらが悪くなる。だからこそ、まず記録を残すことにした。2台の位置、ナンバー、駐車枠、時間。写真を何枚も撮った。
そのうえで、隣の枠を借りている職場の人に電話した。
「今、あなたの駐車枠にも知らない車が停まってます。
知り合いですか?」
相手はすぐに答えた。
「知らない。勝手に停められてるなら困る」
私は状況を説明した。管理会社に連絡がつかないこと、警察も動けない可能性が高いこと、自分の車を停める場所がないこと。
すると、職場の人は少し間を置いて言った。
「前に停めて出られないようにしていいよ。私も困ってるし」
GOサインが出た。
もちろん、相手の車にぶつけたり、傷つけたりするつもりはない。
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