娘が3歳になった頃、私はもう1度働き始めようと考えていた。
出産前は飲食店でパートをしていたが、娘が生まれてからは家事と育児に専念していた。
夫の収入だけで生活できないわけではない。
ただ、物価が上がり、毎月の出費が少しずつ増えていた。
「そろそろ仕事を探してみようかな」
夕食のとき、夫に相談した。
「いいと思うよ。でも、娘の預け先は?」
「それが問題なんだよね」
保育園の空きはなかなか見つからなかった。
実家は遠く、両親に毎日頼ることもできない。
私は求人サイトを見ながら、何度もため息をついた。
午前中だけ働ける仕事はある。
週3日で募集している職場もある。
でも、面接で子どもの預け先について話すと、難しい顔をされることが多かった。
「急に休まれると困るんですよ」
「小さいお子さんがいると、なかなか大変ですよね」
相手の事情も理解できる。
飲食店なら、忙しい時間帯にスタッフが足りなくなると大変だろう。
それでも、働きたいという気持ちは変わらなかった。
そんなある日。
娘と散歩していると、小さな飲食店の窓に貼られた紙が目に入った。
『パートさん募集』
私は何となく立ち止まった。
勤務時間は11時〜14時。
食事付き。
週3日勤務。
日曜定休。
「へえ、短時間なんだ」
さらに読み進めた瞬間、目を疑った。
『子連れ出勤OK!』
「……えっ?」
思わず声が出た。
私は娘の手を握ったまま、貼り紙に近づいた。
何度読んでも、同じことが書かれている。
子連れ出勤OK。
こんな求人は初めて見た。
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