息子が算数のテストを持って帰ってきたのは、木曜日の夕方だった。
小学6年生の息子は、普段から算数が嫌いなわけではない。
むしろ計算問題は得意なほうだ。
でも、文章問題になると、時々思い込みで答えてしまうことがある。
その日も、ランドセルを置くなり私のところへやってきた。
「お母さん、ちょっとこれ見て」
「どうしたの?」
「算数のテストなんだけど、納得いかない問題がある」
息子は少し不満そうな顔でプリントを差し出した。
問題10。
そこには、父親と息子の年齢についての文章が書かれていた。
『父親は息子より26歳年上です。今から5年後、父親の年齢は息子の年齢のちょうど2倍になります。現在、息子は何歳ですか?』
息子の答えは13歳。
その横には、大きな赤いバツがついていた。
さらに先生の字で、
『年齢差は変わらないよ!よく考えよう。』
と書かれていた。
「これ、何で間違いなの?」
息子が尋ねた。
私は問題を読み直した。
「父親が26歳上で、5年後に2倍か……」
「僕、13歳だと思ったんだよ」
「どうして?」
「13の2倍は26でしょ?」
私は息子を見た。
「なるほど。でも26歳って、何の数字?」
「年齢の差」
「そうだね」
「だから13歳じゃないの?」
私は紙と鉛筆を持ってきた。
「じゃあ、13歳だと仮定してみよう」
息子は隣に座った。
「今、息子が13歳なら、お父さんは何歳?」
「39歳」
「そう。26歳年上だから39歳だよね」
私は紙に書いた。
父親39歳。
息子13歳。
年齢差26歳。
「ここまでは合ってるね」
息子は得意そうにうなずいた。
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