飛行機の座席に座った瞬間から、私は少し嫌な予感がしていた。
隣に座ってきた年配の男性が、やけに大きく足を広げていたからだ。
私が利用していたのは、一般的なエコノミークラスの座席だった。
足元の広さには限りがある。
小さなバッグを前の座席の下に置き、私はできるだけ自分のスペースに収まるように座っていた。
ところが、隣の男性は違った。
座るなり両膝を大きく開き、片方の足を私のほうへ伸ばしてきた。
「……近いな」
最初はそう思っただけだった。
体格の大きな人なら、狭い座席で窮屈に感じることもあるだろう。
少しすれば足を戻してくれるかもしれない。
そう考えて、私は何も言わなかった。
しかし、飛行機が動き始めても、男性の足はそのままだった。
それどころか、次第に私の足元へ入り込んでくる。
黒い革靴の先が、自分のバッグに近づいているのが見えた。
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