郵便局から届いた不在連絡票を見て、私は思わず声を上げた。
「郵便受けから猫が顔を出しており、投函できませんでした」
……は?
郵便受けから猫?
そんなことがあるわけないだろうと思いながら、玄関のドアを開けて外に出た。
そして、郵便受けをのぞき込んだ瞬間。
「……お前か!」
いた。
うちの猫が、郵便受けの内側から顔だけを出していた。
しかも、こちらを見つめる目は、まるで「何か文句でも?」と言いたげだった。
いやいや、こっちが聞きたい。
お前、いつからそこに入っていたんだ?
我が家の猫は、名前をムギという。
普段はソファの上で寝ているか、窓辺で外を眺めているか、私の作業を邪魔するかの3択だ。
ところが最近、玄関付近で妙にゴソゴソしていることがあった。
私はてっきり、外を歩く鳥や近所の猫が気になっているのだと思っていた。
まさか、自分から郵便受けに入り込んでいたとは。
しかも、よりによって配達の日に。
私は郵便受けのフタをそっと持ち上げた。
「ムギ、出ておいで」
するとムギは、顔を引っ込めるどころか、さらに迷惑そうな顔をした。
「ニャー」
まるで「今、忙しいんだけど」とでも言いたげだ。
いや、忙しいのは配達員さんのほうだ。
私は慎重にムギを抱き上げ、郵便受けから救出した。
幸い、ケガはなかった。
ただ、郵便受けの中には、ムギの毛が何本も残っていた。
どうやら、ここを秘密基地にしていたらしい。
私はすぐに郵便局へ連絡した。
「先ほどはすみません。原因の猫、無事に確保しました」
電話口の担当者は、一瞬黙ったあと、笑いをこらえるような声で言った。
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