「え、増えてる……?」
娘を塾へ送って帰ってきた私は、マンションの2階から下を見た瞬間、背筋が冷たくなった。
そこはポンプ室の屋根。
梯子もなく、普通なら人が簡単に立ち入れる場所ではない。
なのに昼間から、ヤマトの段ボール箱が1つ、ぽつんと置かれていた。
いや、「置かれていた」というより、明らかに上から投げ込まれたような位置だった。
最初に見つけた時は、
「誰かが上の階から荷物を落としたのかな?」
くらいに考えていた。
ちょうど自分にも荷物が届く予定だったので、一瞬、
「まさか私の?」
と焦った。
でも箱の形が違う。
しかも段ボールには、大きく潰れた跡もない。
気になって管理組合の理事長さんを呼び、2人で下を確認した。
しかし、その日は休日。
管理人さんも不在だったため、
「週明けに確認しましょう」
という話になった。
私は少し引っかかりながらも、娘を塾へ送るためマンションを出た。
そして約1時間後。
帰宅して、何となくもう一度ポンプ室の屋根を見た。
次の瞬間、
「え……?」
さっきまで段ボールしかなかった場所に、細長い物が増えている。
目を凝らした。
傘だった。
しかも、その柄には見覚えがあった。
「……うちの傘じゃん」
玄関へ走った。
いつも置いていた傘が、確かに1本なくなっている。
つまり、私が娘を送っている間に、
誰かがうちの傘を持ち出し、
人が入れない屋根へ投げたことになる。
さっきの段ボールとは意味がまるで違う。
偶然落ちたのではない。
少なくとも傘は、誰かが触っている。
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