「え、ここ私の駐車スペースなんだけど……」
昼過ぎ、自宅近くの契約駐車場に戻った私は、思わず車を止めた。
いつも使っている自分の区画に、見知らぬ車が堂々と停まっていたからだ。
一瞬、場所を間違えたのかと思った。
でも、区画番号を確認しても間違いない。
毎月きちんと料金を払って借りている、私のスペースだった。
しかも、その車は少しだけ寄せて停めるでもなく、完全に区画の中央。
まるで最初から自分の場所だったような停め方だった。
私はしばらく待った。
近くの店に少し寄っただけなら、すぐ戻ってくるかもしれない。
そう思って10分。
20分。
それでも持ち主は現れない。
こっちは自分の車を停められず、周囲をぐるぐる回るしかない。
さすがに困って、管理会社へ電話をした。
「契約している区画に知らない車が停まっています」
担当者に区画番号と車の特徴を伝えた。
すると、
「こちらでも確認しますが、勝手に動かすことはできません」
とのこと。
当然だ。
こちらが腹を立てて勝手に触れば、別のトラブルになる。
だから私は車の写真と、自分の契約区画だと分かる表示を残し、その場で待つことにした。
約40分後。
ようやく1人の男性が戻ってきた。
悪びれる様子もなく、買い物袋を手にしている。
私は静かに声をかけた。
「すみません。ここ、私が契約している駐車スペースなんですが」
男性は一度こちらを見て、車を見て、軽く笑った。
「ちょっと停めただけですよ」
その言葉に、さすがに耳を疑った。
「ちょっと」でも、他人が料金を払って借りている場所だ。
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