あの時代のテレビは、本当に自由だった。
そして、ちょっと危なっかしくて、でも誰も文句なんて言わなかった。
画面の向こうでは、芸能人たちが本気で笑い、本気で転んで、本気で楽しんでいた。そう——「芸能人水泳大会」や「大磯ロングビーチの水着運動会」だ。
いまの若い人が見たら信じられないかもしれない。アイドルも歌手も俳優も、みんな水着姿で浮き輪レース。テレビカメラがズームインするたびに、スタジオがどっと沸く。
この写真を見れば、当時の空気が一瞬で蘇る。
太陽が照りつける大磯ロングビーチ。カラフルなビキニと笑い声。
浮き輪を抱えてはしゃぐアイドルたちの後ろでは、司会者が大声でマイクを振り回している。
「いけーっ!」「落ちるなよー!」そんな声がテレビ越しに聞こえてきた。
コメントにも、懐かしさと笑いが入り混じっていた。「秀樹やひろみが大活躍だったよな(笑)」「テレビ業界って、ほんとやりたい放題だった」「今じゃ記者会見で謝ってばかり…」
本当にそう。この時代のテレビには、“謝罪会見”なんて言葉、まだ存在しなかった。
あの頃の番組には、「面白ければそれでいい」という無邪気なエネルギーがあった。
もちろん、今の基準では危ういこともたくさんあったけれど、それでも画面の中の人たちは“心から楽しんでいた”。
誰も台本なんて気にしてなかったし、SNSで炎上することもない。
ただ、夏を、テレビを、そして“その瞬間”を全力で楽しんでいた。
いま見ると、どの笑顔もまぶしい。作り笑いじゃなく、照れ笑いでもなく、本当に「楽しい!」がそのまま顔に出ている。
あの時代のテレビマンたちは、“視聴率”ではなく“熱量”で番組を作っていたのかもしれない。
大磯ロングビーチの太陽の下、笑いながら転んで、びしょ濡れになって、それでも全員がキラキラしてた。
そんな時代を知っている人にとって、この写真は単なる懐かしさじゃなく、“青春”そのものだ。
あの頃のテレビは、完璧じゃなかったけれど、確かに“人間味”があった。
今ではもう、あんな無邪気な番組は作れないかもしれない。
でも、テレビが一番“楽しかった時代”を知っていることは、ちょっとした誇りでもある。
——「やりたい放題」と言われても、あの笑顔を見れば、誰も責める気になれない。